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 夫は深い深いため息をつくと…こうボソボソと話し始めました。


「モナとの結婚は…外国でならいいですけど…彼女に日本は無理ですよ…。


 それに俺も…日本で<現地国>人の妻がいるとか恥ずかしくて無理っす」


 What’s?!


「え…ええ?!ごめんボソボソしてて聞き取れなかったけど!もう一回言って?


 …<現地国>人の妻がなんだって?」


 聞き間違いかと思い、夫に再確認してみたのですが…夫は堂々とこう言い放ちました。


「だーかーらー!恥ずかしいだろって!」


 夫の発言にその場が再び凍りつきました。


「やっぱさぁ!日本にいて日本人以外と結婚してるのって…


 よっぽど日本でモテなかった奴だけだと思うんだよね!


 まあ、ヨーロッパとかあの辺の人と結婚してるならまた話は別だろうけどさ!」


 場の空気を全く読めていない夫、さらに続けます。


「そんな風に周りから見られんのも嫌だし、何よりモナってさあ!


 嫉妬深いし我がままだし、なんでもはっきり言う女だから日本には向いてないと思うんだよね!


 俺さ、人には生きていくのに向いている場所、不向きな場所っていうのがあると思うのね?


 …だからモナを日本にっていうのは無理だわ。


 まあA国なら大丈夫かなって思うけど」


「すごい…」


「すごいね…」


「いろんな意味ですごいね…」


「堂々とすごいこと言い切ったな…」


 偏見の塊のような夫の見解に、私たちは唖然としました。


 夫はそんな私たちの反応など全く気にも留めず、続けて言います。


「まぁ、確かに俺、もう会社辞めてA国に行こうと思ってるし?


 離婚…するしかないのはわかるけどさぁ…俺も正直新しい旅立ちに金使いたいからさ?


 …慰謝料とか養育費とか払わなくてもいいならそれでもいいけど?」


「「「「いやもう、何言ってんのお前!!!!!!」」」」


 全員の声がひとつになりました。


「だってあいか、あの300万円だって母さんに返したんだろ?もったいねぇな!


 …500万円は出すって母さん言ってるし、その金でA国で新しく事業でも始めるわ!


 …そのほうが金だって有効に使えるじゃん?」


「ちょ…本気で言ってるの?!」


「だってあいかだって働き出したんだろ?なら別に今すぐ大金が必要なわけじゃないじゃん?


 …その間に俺がA国で事業立ち上げて、儲かったらその分はちゃんとあいかにも渡すからさ!」


 スラスラと展望を述べる夫。私はすぐにピンときました。


(こんな計画、今この場で思いついたとは思えない…!)


 そうか、夫がいきなり会社辞めてA国に行くって言い出したのは…


(お義母さんが500万円一括ですぐに出せるってわかったから…!)


 居心地が悪くなった会社にいるより、その500万円を私からなんとか巻き上げて…


(A国で「シャチョー!」とでも呼ばれて悠々自適な暮らしをした方がいいじゃんって魂胆だったんだ!)


「…なるほどね、そういうつもりだったんだ」


(…相変わらず、考えることが浅はかすぎてダダ漏れなんですけど!)





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