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「あいかちゃん、ちょっといいかしら?」


 先ほどまでそっぽを向いてた義母が、ようやく何かを言う気になったようです。


「はっきりさせたいって言うけど…はっきりさせてどうするの?


 離婚する?


 あなたが思っている以上に、1人で子供を育てていくって大変よ?特に金銭的に…。


 息子のしていることが気にいらないのはわかるけど、私だって孫ちゃんに会えなくなるのは寂しいわ…」


(息子のしている事が気に入らないのはわかるけどって…)


 …やはり義母も、息子である慎也の所業は把握済みのようでした。


「孫については、私たちも最大限の援助を惜しまないつもりです。


 …そもそも金銭的なことがご心配なら、まずは息子さんに養育費をきちんと払うことに同意するようお話しされてはいかがですか?」


 すかさず母がそう突っ込みます。しかし義母は…


「それは息子が決めることですし…そもそも息子は私の言うことなんて聞きやしませんよ…!


 あいかちゃんは本当に離婚でいいの?孫ちゃんを父無し子にするつもり?!」


 と、あくまで私を責めてきました。 


「お義母さん、間違えないでくださいね。先に孫の父親たる義務を怠ったのは、


 …父親としてしてはいけないことをしているのは、あなたの息子さんの方ですよ」


「そうかもしれないけど…。あいかちゃん、ちゃんと息子に孫の顔を見せてあげていたのかしら?


 …息子も父親としてはまだ未熟なの…!父親として振る舞えるようになるまで…しばらく待ってあげたら?」


 これらのやりとりを聞いていた父、ついにキレます。


「話にならない!まずはお宅の息子のしでかしたことを誠心誠意詫びるのが筋ってものでしょうが!」


 さらに父は…


「確かにうちの娘にも至らぬところがあったのかもしれない。


 でもね、だからって海外赴任中に現地の女性と重婚しますか!?


 ありえませんよ!…父親の自覚?!もう現実に孫は産まれているんだ!


 …いつまでも子供みたいな振る舞いが許されるはずないでしょう!」


 勢いよくそう言い放ちました。義父はそんな父を見て


「まぁまぁそう熱くなっていたら話し合いにならないでしょう」


 とドン引きの様子。私もこんな怒りに震える父親を初めて見ました。


「そうですよ!そんな離婚なんて…簡単に決められる問題じゃないんだし…!


 …まずは2人でゆっくりお互いについて話し合いをしてみたらいいんじゃない?」

 

 義母は猫撫で声で私を宥めようとしてきます。


(慎也に話が通じるなら、そもそもこんなところまで来てないわ!)


 私はキッと義父母を睨みつけて、言い放ちました。


「私が現地まで行って録音してきた音声をお聞きになります?


 …話にならないんですよ!離婚はしない、養育費は払わない、相手とは別れない。


 …だからこうしてこちらにお話に伺ってるんです!」


「そうは言うがね、息子がそう言っている以上、我々にだってどうしようも出来ないよ。


 …もう夫婦になったんだろう?夫婦のことは夫婦で話し合って決めなさい…!


 いつまで子供のつもりでいるんだ!」


 しかし義父からはそう言って冷たく突き放されるのみ…。


 …随分都合良く大人扱いしたり子供扱いしたりするなぁと呆れてしまいました。


「わかりました。では私の方で色々と、法的措置も含めて考えさせて頂きます。


 そのためにも…慎也さんのA国での出生証明書なりそれに準ずる書類を頂けますか?」


 そう、これが今回の義実家訪問のメインといっても過言ではないのです!


 私は夫のもうひとつの国籍について何一つ情報がないまま…。


 裁判を起こすにも通報するにも、まずは【本当の慎也】の全てを知らなければ…! 

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